2022年4月25日月曜日

僕らの世界は思っていたより悩ましい 【昨日の日記】

 4月23日 日曜日 雨 ちょっと長文。

日曜日の午前中は食料品の買い出しに行くのがお決まり。いつものとおり、いつものスーパーへ買い物へ。いつもどおり買い物を終えて帰るはずだったけど……。

パンコーナーでバリバリとお惣菜容器を押しつぶすような音が。音のする方へ視線を向けると、おじいさんが上着の前側を何やら触っている。

うん?胸元からお惣菜容器の音?

不審に思っておじいさんを棚の反対側から見ていたけどよく見えない。雨降りだとはいえ、ちょっと季節外れの大きなジャンパー。まさかね……。

まぁ、仮に良くないことをしていたとしていたとしても、さっき目があったような気もするし、もう何もしなないよね。

そう思いながらも、気になって遠くから見ていると、手に取った菓子パンをポケットへ。

万引きだ!

今、ポケットに入れたよね。見間違いじゃないよね?

今、声をかけておじいさんをお店の人に引き渡せばどうなる?厳重注意?警察を呼ばれる?
でも、このままボクが見てみないふりすれば、おじいさんはずっと万引きを続ける?
家族は?子供は?お孫さんもいるのかも?

迷ったすえに、ボクはおじいさんに直接声をかけず、近くにいた店員さんに通報した。

その後、店員さんからは「万引きの現場を確認できなかったので、捕まえられなかった」と伝えられた。
ちょっとホッとしたような気持ちと、あの時に声をかけなかった後悔の気持ちが入り交じる微妙な心境。

万引きの瞬間を見た時、娘1号と行った名古屋地方裁判所を傍聴したときの様子を思い出した。実際に万引きで起訴されたおばあさんや、窃盗を繰り返していた夫婦の裁判も傍聴した。窃盗で起訴される人は意外と多い。そして、被告人席に座る人は見た目は本当に普通の人だ。いかにも悪さをしそうな人なんていなかった。それなのに、被告人席側と傍聴席側とを仕切る小さな柵の向こう側とこちら側とでは、まったく世界が違う。大げさな言い方だけど、手が届かないほどの大きな溝を感じたのを覚えている。

ボクはどうするべきだったんだろ。店員さんに通報ってのは責任転嫁だったかな。
正直、ちょっと悩む。

そして、そんな大きな溝で隔てられた向こう側の職業を目指す娘1号。ほんとに尊敬する。